2018年05月23日

しまなみ海道は尾道から(9)

 午後四時までに電動自転車を返して、尾道駅から三原駅に向かわなければならない。海辺のレンタルショップに返却すると、痛い足を引きずりながら尾道駅に入った。実は、今日はまだ、昼食を取っていなかった。尾道ラーメンでも食べたかったのだが、本当に時間がない。三原駅で瀬戸内レモンのイカ天をかじり、広島空港行きの路線バスに飛び乗った。すぐに居眠りしてしまい、目が覚めたのは、広島空港に近づいてからだった。
 空港のターミナルで、昼食兼夕食を取ることにした。尾道で食べられなかったラーメンを注文してみた。東京の醤油ラーメンに似ている。東京ラーメンは豚骨のさっぱり醤油味だが、尾道ラーメンは鶏ガラだから余計さっぱりしている。青ネギを多く刻んで、チャーシューとメンマが載っている。
 今回の旅はとにかく時間に追われた。午後七時半発の日航機に乗り込んだ。動き出すとすぐに滑走路に入った。離陸してからはほとんど揺れはなく、中国山地の上を飛行していった。友人が飛行位置を確認して、あの明るいところは福山だと言った。鞆の浦はあの辺なのかと思った。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

            
posted by 高野敦志 at 01:47| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月22日

しまなみ海道は尾道から(8)

 円柱状の展望台に上ると、屋上に出られる。そこからは尾道水道の全体が見渡せる。東側の新尾道大橋はかすむほど彼方にある。しまなみ海道を走る車が通るが、街の中心から向島に渡るのは、今でもフェリーが現実的なのだ。すでに午後三時を回っており、西側の水面は白く光っている。
 千光寺に行ってみることにした。ただ、昨日弥山を急いで下ったせいで、かなり足が痛い。引きずるようにして、一歩一歩下りていく。こんな具合では、猫を探して尾道駅まで路地を巡るというのも、所詮は無理な話だったのである。
 尾道は文人に愛された町でもある。文学の小径には十返舎一九の「日のかげは青海原を照らしつゝ 光る孔雀の尾の道の沖」という短歌や、正岡子規の「のどかさや 小山つづきに塔二つ」という俳句、志賀直哉の『暗夜行路』や林芙美子の『放浪記』の一節を記した看板が並んでいる。途中で狭い岩の間を過ぎる。千光寺はさらに下にあった。
 真言宗の古刹で、正式には大宝山権現院千光寺という。多くの伽藍が急斜面に建っている。十二支の守り本尊の石像が並んでいる。本尊千手観音は秘仏なのだそうだ。線香の煙が流れ、崖にそそり立つ本堂の奥から読経の声が聞こえる。いかにも霊場という感じがした。本当はゆっくり巡りたかったが、そんな時間はないと友人に言われた。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

posted by 高野敦志 at 03:15| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月21日

しまなみ海道は尾道から(7)

 駅自体はそれほど小さくなかった。乗客をすし詰めにして、ロープウェイは十五分おきに運行している。神社の上を通過すると、急斜面に広がる住宅地と、多くの寺院が目に入る。三分の二ほど上ったところで、左方に千光寺が見えてきた。下方を見下ろすと、狭い陸地に道路と山陽本線が走り、狭い水道を隔てて向島が見える。
 三分で千光寺公園に到着した。改札を出たところに、猫駅長と寄り添うメス猫の像が飾られていた。尾道は猫の多い町としても知られている。岩合光昭の番組『ネコ歩き』が人気を博しているが、町の風景の一つとなった猫たちは、通りがかる人々の心を癒してくれる。猫が安心して歩ける町は、心のゆとりも与えてくれるのだ。
 ところが、犬や猫にマイクロチップを埋め込む法案が、近く上程されるらしい。逃げ出した飼い犬や飼い猫が、誤って殺処分されるのを防ぐという体のいい口実が設けられているが、いち早く義務化された欧米では、それが元で死ぬ子犬や子猫も出ているという。路地を歩き回る飼い猫や、地域住民が餌付けした地域猫が、そんな悪法のために姿を消してしまうのでは、という恐れが脳裏をよぎった。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

posted by 高野敦志 at 02:04| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする