2019年02月24日

「日本語教師の資格化」について

 日本語教師の資格化については、日本語教育能力検定試験に代わるものが考えられているのだろうか。そもそも、日本語教育能力検定試験に関しては、当初は文部大臣認定だったはずである。いつの間にか認定が外れて、民間の資格試験となっている。しかしながら、日本語文法、語用論、音声学、日本語史、比較言語学、音声学、教材研究など、多岐にわたる出題がされており、新たに作られる資格が国家試験となっても、出題の質は大きく変わることがないと思われる。
 30年にわたって日本語教育能力検定試験合格が日本語教師に必須の資格とされ、それに基づいて日本語教育の現場で働く教師の立場を考慮すれば、たとえ新規に国家試験のようなものが設定されても、日本語教育能力検定試験の合格者は、国家試験の合格者に準じる資格を持つ者として認められるべきである。
 現在、日本語教育の現場では、若手の教師が圧倒的に不足している。その現状を考えるなら、日本語教育の資格化で、長年現場で教えてきた教師の資格を剥奪して、新規の国家試験受験を義務化したりすれば、大きな混乱を招くだけで、日本語教師不足を危機的な状況に陥らせるものと思われる。


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2019年02月23日

日本語教育機関の質の向上・適正な管理

 近年、日本語学校が増設されており、日本語学校の質の低下を不安視する声がある。学生が満足いく教育を受けるには、日本語学校の教育の水準が一定以上に保たれるのは当然と考えられるが、画一的な基準で学校の質を判断することは難しい。
 学生の管理に関しては、在籍者が不法残留しないように、また、学習意欲がある学生のみを就学させるように、各学校が努力をしてきたはずである。告示基準の厳格化を書類面で画一的に行うことは、大きな危険を伴う。日本語教育機関の告示基準に外れるかどうかの審査は、入管から職員が各学校に出向き、授業実態が理想から外れているかどうかを実地に調査してからでなければ、なすべきではないと考える。
 日本語能力試験の合格率で、日本語学校の質を量るというのも、日本語学校の実態を知らない外部者の暴論である。日本語学校の中には、漢字圏からしか学生を集めない学校と、世界中から学生を集めている学校があり、日本語学習の動機にしても、大学進学に限らず、専門学校への進学、日本文化体験、日本での就職など多様である。日本語能力試験のN1は大学進学希望の学生には必要でも、専門学校ではN2でも可能であり、日本文化体験が目的ならN3でも構わない。日本語能力試験の合格率で学校の質を量るというのは、日本語教育の現場を知らない人間の不見識による暴論としか言いようがない。


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2016年12月29日

『実用変体がな』について

 古典文学や日本史の専門家は、活字ではない写本を読めなければならない。実際に見ると、墨で書かれた文字を判読するのは容易ではない。字体が崩れているだけではなく、現代人が使わなくなった「変体がな」が多数使われているからである。
 以前、自分のルーツが知りたくて、曽祖父の戸籍を調べていると、読めないひらがなが出てきた。それが「変体がな」だった。「変体がな」は人名にはよく用いられていたし、そばやの看板の「そば」の字は、「楚」の変体がなと、「者」の変体がなに濁点のついた字が用いられている。国語学者の山田孝雄の著作も、活字の「変体がな」が用いられている。谷崎潤一郎の『盲目物語』の和綴じ版にも、「変体がな」が多く出てきた。
 日本語の専門家の端くれなので、かな研究会篇の『実用変体がな』を購入してみた。これは大学や短大の授業で用いられるように編纂された本である。例えば、ひらがなの「あ」は、「安」「阿」「愛」「亞」「惡」の草書体が元になっているのが分かる。しかも、写本の「安」を崩した見本は30以上もある。漢字の原型をとどめているものや、現在のひらがなに近い形まで崩されている字は読みやすいが、難しいのは崩し方が独特で「め」や「ろ」と誤読しそうな字体である。よくもこんなにあると気が遠くなったが、当時は墨で書いていたので、字によってはこれだけバリエーションが出てきてしまう。
 今回紹介する本の利点は、コンパクトにまとめられている点と、実際の用例も収録されている点である。「変体がな」がつながって書かれるとどうなるか、写本の例で確かめることもできる。巻末にはカタカナの「変体がな」の例も収録されている。
 実際に覚えたいなら、見本を見ながら筆で書いた方がいいだろう。どんな漢字の草書体かと覚えておくだけでも、実際に「変体がな」と出くわしたときに戸惑わずに済む。
 中学校ではかな文字は平安時代に成立したと習った。それ以前は万葉がなが用いられていたのも分かっていた。それ以上のことを知ったのは、成人してからだった。「変体がな」は万葉がなが部分的ではあるが、20世紀まで生き残っていた名残なのである。

参考文献
 かな研究会編『実用変体がな』(新典社)

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