2019年05月04日

連体修飾節の種類

 日本語における連体修飾節では、名詞の前に修飾する語句が来る。実際の例を挙げて説明しよう。

例 母が作った料理はおいしい。

 修飾される名詞(料理)は、文法用語では「底の名詞」と呼ばれる。

 それに対して、英語では名詞の後に修飾する語句が来る。

例 Dishes(which)my mother made are delicious.

 英語など欧米の諸言語の多くは、修飾する語句を、どんどん後ろにつなげられるから、修飾する部分が長すぎた場合、それを日本語に訳すのには工夫が要る。長大な語句が前置されて「底の名詞」を修飾する場合、修飾・被修飾の関係が複雑になり、文の構成が一読しただけでは分かりにくくなるからである。
 ここで言う「底の名詞」とは英文法における「先行詞」に相当する。また、英語のwhichのような「関係代名詞」に相当する語は、日本語では必要とされない。

 普通はその程度しか、連体修飾節については知らないかもしれない。しかし、日本語の連体修飾節は「内の関係」と「外の関係」に大別され、用法にも細かなルールがあるので、日本語教師として日本語を外国人に教える場合や、上級の日本語学習者も大枠を知っておく必要がある。
 また、日本語を英語に訳す場合も、日本語の連体修飾節について知っておくことは、思わぬ誤訳を避ける上で役に立つだろう。

 以下に用法をまとめたので、ダウンロードして参考にして下さい。
rentaishushokusetsu.pdf

 iTunesからダウンロードする場合は、マイミュージック→iTunes→iTunes Music→podcasts→当該のフォルダの下に、ファイルが入ります。大部分のパソコンにインストールされているAdobe Readerで読むことができます。

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2019年04月18日

連体修飾節内の動詞について

 連体修飾節とは名詞を修飾する節である。「兄が撮った写真はこれです」のうち、「兄が撮った」の部分が連体修飾節で、修飾される名詞は「底の名詞」と呼ばれる。「兄が撮った写真」のように、「底の名詞」である写真が元の文である「兄が写真を撮った」の中に含まれている場合を「内の関係」、「鳥が飛んでいる写真はこれです」のように、連体修飾節が修飾される名詞の内容を表し、「底の名詞」(写真)が連体修飾節(鳥が飛んでいる)の中に含まれず、外から付加された場合を「外の関係」と呼ぶ。
 寺村秀夫によるこの区別は、文法研究の上では重要だが、連体修飾節を学ぶ外国人がまず戸惑うのは、連体修飾節の中に含まれる動詞の種類によって、意味が異なってくるという点である。

1 本を読んでいる人は陳さんです。
2 本を読んだ人は陳さんです。
3 陳さんが読んでいる本は、夏目漱石の『こころ』です。
4 陳さんが読んだ本は、夏目漱石の『こころ』です。

「読む」「書く」「話す」など動きに時間がかかる「継続動詞」の場合、「読んでいる(人・本)」は、現在「読んでいる」という継続の状態を表している。一方、「読んだ(人・本)」の場合には、もう読んでしまったという過去のテンス(時制)を表す。そのため、両者の意味に違いが生じるのである。

 では、連体修飾節内の動詞が「着る」「はく」「かぶる」など、動きが瞬間に終わる「瞬間動詞」の場合はどうだろうか。

5 メガネをかけている人は陳さんです。
6 メガネをかけた人は陳さんです。
7 陳さんがかけているメガネは汚れている。
8 陳さんがかけたメガネは汚れている。

「メガネをかけている人」「メガネをかけた人」は一般に同じ意味で発話される。「かけた」の「た」は完了を表している。「一方、「陳さんがかけているメガネ」は、現在かけているメガネであり、「陳さんがかけたメガネ」の方は、「かけた」の「た」を過去のテンスととらえることが多い。
 この違いはどこからくるのだろうか。「底の名詞」が「人」の場合は同じ意味で、「物」の場合には意味に違いが生じると、とりあえず教えてしまってもいいかもしれない。ただ、そう教えてしまうと、次のような例文が出て来ると困ってしまう。

9 (陳さんは)しみがつい(い)てるズボンをはいている。
10 (陳さんは)しみがついたズボンをはいている。

「底の名詞」がともに「物」であるにもかかわらず、両者の意味は同じである。7と8には違いがあり、9と10に違いがないのはなぜか。それは7と8では、連体修飾節の部分に動作主の「陳さん」が含まれているのに対し、9と10では連体修飾節に含まれる「しみ」は「物」だからである。
 連体修飾節内に「動作主」が含まれることで、「陳さんがかけているメガネ」は、現在かけている状態、「陳さんがかけたメガネ」は過去にかけたことをことを表す。それに対して、連体修飾節の中に「動作主」が含まれない9と10では、「しみがついて(い)るズボン」も「しみがついたズボン」も、ともにスボンの状態を表しているのである。


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2019年04月08日

逆接の表現(pdf)

 外国人が日本語を学習するとき、戸惑うことの一つは類似した表現である。英語圏の学生が和英辞典を引いて、英語で違いを理解しようとしても限界がある。やはり、典型的な例文を覚え、違いがどこにあるのか教師に質問するしかない。
 以前、「は」と「が」の違いについて、「と」「ば」「たら」「なら」の区別について書いた。今回は逆接の表現を取り上げることにする。日本人のように完璧に違いを使いこなすのは難しいので、理解できる用法は最大限に増やして、学習者自身が日本語で表現する場合は、誤用が避けられるように、使い道の広い用法を覚えるようにすればいい。効率的に学習することが早道なのである。また、古めかしい表現は普通の外国人には不要である。
 以下のリンクから、pdfファイルをダウンロードしていただくとして、簡単な説明を付け加えていくことにする。
gyakusetsu.pdf

T 接続詞と接続助詞

「しかし」と「ただし」の違いについて、某日中辞典を見たら、同一の説明をしていて、これでは中国人の学生が理解できないだろうと思った。「ただし」は条件や例外を加える場合に用いるのであって、「もっとも」にも同様の用法がある。
 逆接の表現を含む内容を、「が」や「けれども」を接続助詞として用いて表す場合には1文、接続詞として用いて表す場合には2文となる。接続助詞「のに」と、接続詞「なのに」のように、語形が若干変わるものがあるのに注意する。
「ところが」は予想外な展開に対する驚きを示す。「にもかかわらず」も似ているが、不条理な状況に対する批判のニュアンスを含むので、自分自身について言及するときには用いにくい。相手への批判に侮蔑のニュアンスが加わる場合には「くせに」が用いられる。
「ながら(も)」と「と言いながら」は類似しているが、後者は発言の矛盾を指摘する場合に用いられる。「ものの」はそれ以上、事態か進展しない場合に用いられる。「といっても」は前件から予想される事態に対し、後件の程度が低い場合に用いられる。「ものを」は相手への不満や残念な気持ちを、含意として表す言いさしの表現である。


U 仮定条件と確定条件

「のに」と「ても」の違いも混同されやすいが、「のに」には「確定条件」の表現しかないのに、「ても」には「確定条件」のほかに「仮定条件」の表現がある。
 また、「のに」にタ形が上接して、いわゆる「反実仮想」、現実に反する状況を想定する表現もある。


V 階層性

 南不二男は従属節の独立度を、階層的に分類している。独立度が低い順にA類、B類、C類と分類している。逆接の表現に限って言えば、「ながら」がA類、「のに」「ても」はB類で、「けれど」「が」がC類となる。例文で示した「のに」「ても」の方が、「けれど」「が」より独立度が低い。したがって、独立度が低い「のに」「ても」は、独立度が高い「けれど」「が」の節の中に、入れ子状に組み込まれるのである。


W 「なくて」「ないで」「ず(に)」

 ここでは併せて、「なくて」「ないで」「ず(に)」の違いについても、触れておくことにする。これらは用法から、「なくて」と、「ないで」「ず(に)」に二分される。
 まず、活用を確認しておくと、形容詞系では前項がイ形容詞でもナ形容詞でも、「なくて」の形を取る。一方、動詞では「なくて」「ないで」「ず(に)」のいずれの形も可能だが、用法によって使われるものが異なってくる。
「なくて」は原因や並列の表現にもっぱら使われるが、「ないで」には幅広い用法があり、大抵は「ないで」を使えば間に合ってしまう。「ず(に)」は「ないで」の用法と重なるが、書き言葉で用いられる。
「ないで」が多用される表現としては、「付帯状況」がある。「否定の許可」「否定の依頼」「禁止」「二重否定」などでも、「ないで」が用いられる。


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