2019年01月16日

ニック・ライオンの『シン・アルマゲドン』(2)

 この映画については、納得できない点がいくつかある。あくまで空想の産物なのだから、何でもありの世界ではあるが、宇宙物理学を参考にした設定にしないと、まともな観客はついていけない。
 第一にエネルギー装置が貧弱すぎる。ワームホールを作るなら、一周数十キロの巨大トンネルといった装置を作らなければ、真実らしさは皆無なのではないか。
 第二に、ワームホールとは、ブラックホールとホワイトホールをつなぐ穴である。仮にワームホールができたとしても、それを通過する間に、地球のすべての存在は押しつぶされ、素粒子レベルまで粉々にされてしまう。それなのに、建物も人間も残っているはずがない。
 第三に、仮にワームホールを通過できたとしても、太陽系の位置に戻るためには、再度ワームホールを通過しなければならず、大惨事が襲いかかるのは必至である。無事に太陽系の位置に戻れるという保証はない。
 最後に、再度ワームホールを通過して生き残ったとしても、荒廃した地球しか残っていないはずで、何もなかったかのように終わる結末は、SFとしても受け容れがたい。
 ワームホールが空間の移動にのみ関わっていたのなら、以前の状態に戻るはずがないし、ワームホールが時間にも関与していたなら、いったん呑み込まれる前の時間に戻っても、時間の経過とともに、再度エネルギー装置の暴走が起こり、地球はワームホールに呑み込まれてしまうからである。


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2019年01月15日

ニック・ライオンの『シン・アルマゲドン』(1)

 アルマゲドン(ハルマゲドン)とは、『ヨハネの黙示録』で説かれている、世界の終末に行われる最終戦争のことで、映画のタイトルとしては「この世の終わり」ぐらいの意味で使われている。このSF映画では、人工的なエネルギー装置の暴走により、地球近くに宇宙の穴、ワームホールが作られ、地球が呑み込まれて、別の宇宙空間に移動してしまうという設定である。
 そこには二つの太陽が存在し、絶え間なく降る隕石と、高電圧の霧の襲来で、建物ばかりでなく、人間の心身も破壊されていく。たとえ死ななくても、精神に異常を来してしまう。主人公のコリンは、エネギー装置を完成させたが、それを政府に売ることは拒絶した。ところが、陰謀に巻き込まれて、装置は稼働させられて暴走、ワームホールの出現と別の宇宙への移動という大惨事に陥る。
 主人公のコリンは長らく記憶を喪失していた。意識が戻ってからは、地球移動後の現在と、移動前の過去を意識で往来して、惨事がどのようにして起きたかを思い出す。再びエネルギー装置を稼働させることで、ワームホールを再度生み出し、地球を太陽系の元の位置に戻すことに成功する。すると、地球は大惨事など何もなかったかのような、平和な世界に戻っているという結末。(つづく)


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