2020年10月08日

十六歳の修学旅行(6)

 六時半に朝食をとり、七時半には出発した。バスで倉敷に向かう。他の生徒は夜遊びが過ぎて、車内で居眠りしている。僕は昨夜のショックのせいか、気分が悪くなっていた。車窓からは瀬戸内の島々や、高梁川に架かる長大な橋が眺められたが。渋滞にはまったせいで、予定より二時間も遅れ、午後一時に倉敷に着いた。
 倉敷駅に近い料理屋で、刺身やフライの定食を食べた。二時四十五分に大原美術館に入る。岡田三郎助の「イタリアの少女」という絵に、皆の視線が集まった。白いブラウスに茶色いスカートをはいた、金髪の素朴な少女だった。目が澄んでいる。ひたむきなところもある。そばにいるだけで心が癒される可憐さがあった。
 その後、後楽園に向かった。岡山藩主池田綱政が造らせた池泉回遊式の庭園である。一面に芝生が広がり、池のほとりに築山や茶亭などが点在する。ただ、高校生のことたから、しみじみしたものを感じたなどと、紋切り型のコメントしかできない。他の生徒は庭園を観賞するよりは、互いに記念写真を撮るのに忙しかった。(つづく)


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posted by 高野敦志 at 02:13| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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