2020年09月30日

十六歳の修学旅行(2)

 一九七九年(昭和五四)十月二四日水曜日。朝のうちは雲が多かった。同級生と制服姿で待ち合わせ、東京駅八重洲口に向かった。班ごとに点呼した後、車両に乗り込んだ。午前九時に新幹線ひかり号が出発。車内では雑談したり、トランプをしたりしていた。広島には五時間余りかかった。
 秋晴れのよい天気だった。原爆資料館を見学したのだが、詳しいことは書かれていない。橋の欄干が焼きつけられた路面、溶けてねじ曲がった鉄骨、熱で炭化した弁当箱のご飯、ケロイド状に焼けただれた背中などは、記憶の中に残っている。井伏鱒二の『黒い雨』を事前に読んでいたから、どんな状況だったかは、知識としては知っていたが。余りの酷さに目を覆うばかりだとしか書いていない。
 その夜は広島のホテルに泊まった。ところが、修学旅行らしくなく、個室に一人ずつ入るように言われた。オートロックのことも分からず、鍵を中に置いたままドアを閉めてしまい、担任のK先生に頼んで開けてもらった。(つづく)


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posted by 高野敦志 at 01:35| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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