2020年08月14日

追憶の高知(7)

 翌朝は晴れていた。ユースホステルを出て、高知駅に入った。ここには思い出がある。高校の修学旅行で、グループ行動をする日、一人が先に走っていった。トイレに入るとか言っていた。駅に到着して、発車のベルが鳴っているのに、彼の姿は現れなかった。
「まさか、乗ってるよな」
 ドアが閉まって、土讃本線の上り特急高松行は発車した。ところが、彼は改札口で走りゆく僕らの列車を、唖然とした表情で眺めていた。
「信じられない」
 彼を見捨てるわけにもいかないので、後免で下車して高知に引き返した。彼が悪びれず「予定通り行けるの?」と言ったので、「行けるはずねえだろ」と、みんな怒り出してしまった。
 午前中に大歩危峡へ行き、午後は高知城と桂浜を見て回る予定だったのだが、大歩危峡で船に乗って、高知に戻ってからは、高知城の前まで行く時間しか残っていなかった。
 とりあえず、鈍行で大歩危峡に行くことにした。列車を待っていると、韓国の朴正煕大統領が暗殺されたというニュースが流れた。1979年10月26日のことである。1974年にも暗殺未遂事件が起きて、夫人が射殺されていた。軍事独裁政権の終焉だった。
 ちなみに、僕は大歩危峡には、そのときしか行っていない。二度訪れたような錯覚をしていたが、グーグルのストリートビューで、船着き場の写真を見て、記憶がよみがえって感激したためだった。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 02:09| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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