2019年08月25日

ぼくがイヌ派だった頃(21)

 大五郎は立派な犬に成長していった。垂れていた耳もぴんと立ち、引きずっていた足も、全力で走れるほどになっていた。一番の楽しみは「散歩」と「ご飯」だった。その言葉を聞くと、目を輝かせ、開いた口から大きな舌を覗かせて、はね回りながら鳴くのだった。
 普段は鎖でつないでいたので、散歩の時ぐらいは自由に走らせてあげたかった。大五郎が全速力で走ると、十八歳の僕でさえ、息がはずむほどだった。コースは大体決まっていたから、すぐに僕の方が引っ張っていかれるようになった。
 犬のしつけの基本は、犬に上下関係を教え込むことだという。散歩のときも勝手に走らせずに、人間の指示に従って歩かせるようにすべきだという。でも、そんなやり方は好かなかった。犬と一緒に走って汗をかくほど、犬との一体感が感じられるときはないからだ。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 02:14| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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