2019年08月22日

丼に入っていたのは?

 うちの猫が家出したことがあった。寒い季節に三日三晩、野宿をしたのである。パニックになって、うちの中に戻ろうにも戻れなくなった。そこで、えさと水を屋外に置いて、飢えと渇きに備えることにした。
 幸い、庭で動けなくなっているところを、妹の手で保護された。玄関脇に置いた丼の水は、片づけてしまってもよかった。ただ、うちの周りには野良猫がよく来る。食べ物はもらえても、水を探すのに苦労すると聞いていたから、そのまま丼に水を入れておくようにした。
 ある夏の夜、僕は丼の中を覗いて仰天した。初めは大きな枯れ葉が入っているんだろうと思った。しかし、何だか厚みがあって盛り上がっている。まさか、野良猫が丼の中に糞をしたのではないか。水をあげていた恩を仇で返す気かと思った。
 次の瞬間、ぎょっとした。茶色い糞の塊が動いたからである。よく見ると、それは大きなガマガエルだった。庭に池があるわけでもないのに、どこからやってきたのだろう。余りの暑さに、丼に入って水浴びしていたのである。
 ガマの油といえば、ガマガエルの体表の分泌液を集めて作ったとされる軟膏で、香具師が怪しげな口上で売っていた代物。傷薬と称していたわけだが、毒物としての作用があり、ブフォトキシンには幻覚作用があるとされる。僕はガマガエルに化かされていたのだろうか。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

posted by 高野敦志 at 03:38| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: