2019年08月12日

ぼくがイヌ派だった頃(19)

 歩くたびに後ろ足を引きずっていた大五郎だが、十日ほど経つと普通に歩けるようになった。ただ、まだ歩くのは下手で、下り坂で走ると、急に止まれずに転がってしまう。
 母と僕、妹の三人が交替で散歩に連れていった。小学校前の大通りは、車の往来が少ない。そこで、妹は大五郎をリードから放して、自由に走り回らせていたらしい。生まれて一ヶ月に満たない子犬だから、通りの端から呼ぶと、喜んで駆けてくる。
 そのとき、車が走ってきた。大五郎は気づかずに向かってくる。妹は叫んだのだが。急ブレーキ! しかし、間に合わなかった。大五郎はタイヤにはじき飛ばされた。
 ぐったりして動かない子犬を抱いて、妹はうちに帰ってきた。目を真っ赤に腫らして。
「大五郎が車に轢かれちゃった!」
 次の瞬間、うちの中にいても分かるほど、母の平手が妹の頬を鳴らした。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 02:54| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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