2019年07月24日

ぼくがイヌ派だった頃(13)

 それが何を意味するのか。連れてこられた白い犬は、保健所の檻に入れられる。他の野犬もしょげたような顔をしている。ふさぎ込んで震えている犬もいる。救いの手が差し伸べられるのは、生まれて間もない子犬だけである。数日後、窓のない部屋に押し込まれ、息苦しさに痙攣が始まり……
 当時のぼくは殺処分の方法は知らなかったが、白い犬にどんな運命が待っているか、薄々感じながらも、想像することを禁じてしまったのだ。何でそんな話をするのかと言えば、ほどなくしておばさんが入院したからである。
「犬を処分したからかしら」
 思ったことを何でも言う点では、母の方も決してひけを取らなかった。それでも、入院先の病院に見舞いに行ったところを見ると、互いに一目置いていたようだが。
 ある夜、強い地震があった。箪笥に載せられていた博多人形は、床に落ちて粉々に砕けた。ぼくはいやな予感がした。しばらくして、前のうちに多くの人が出入りしていた。母は様子を見に行った。おばさんは癌で亡くなっていたのだ。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 02:41| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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