2019年05月01日

ぼくがダライラマ?(71)

 部屋の奥から歓声が上がった。くやしがってテーブルを叩く牧人。口ひげを生やした胴元らしい男は、いずれかの寺の僧兵くずれなのだろう。毛むくじゃらの腕がひっきりなしに動き、サイコロが生き物みたいにはね回っている。
 ぼくは初めて博奕をしているところを見た。一攫千金を夢見て、手持ちの金を全部すってしまっても、巡礼のふりして物乞いをすればいい。ただ、坊さんの方が上手(うわて)かもしれない。巡礼なら餓死する恐れがあるが、坊さんなら祈祷の文句を唱えるだけで、たんまりお布施がもらえるわけだから。
「猊下もなさいますか」
「ぼくがやっても面白くないよ。いくら負けても、一文無しにならないんだから」
「では、まず酒からということにいたしましょう」(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 03:49| Comment(0) | 連載 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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