2018年09月29日

虎と犬

 虎の王が吠えると、犬の王はひれ伏してお手をした。
「今日は何を持ってきたんだ」
 犬の王は民衆から巻き上げた肉や魚を献上したが、虎の王を満足させることはできなかった。そこで、生け贄に若いつがいの犬を奉った。
 虎の王は哀れむ目で縛られたつがいを見た。お前たちが悲惨な目に遭うのは、詰まらぬ犬を王として崇めているからだ。あいつは保身のためなら、すべての犬を犠牲に差し出すだろう。お前たちにまだ狼の誇りが残っているなら、あんな王は引きずり下ろすがいい。
 犬の王が帰国すると、民衆は王を倒すどころか、生け贄になるまいと互いに足を引っ張り合った。虎の王は「見下げ果てた犬どもめ!」と叫ぶと、生け贄の犬に食らいついた。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

posted by 高野敦志 at 01:52| Comment(0) | ショートショート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: