2018年09月18日

John Coltraneの《Blue Train》

 ジョン・コルトレーンが1958年に発表したアルバムで、リーダーを務めたものとしては、ブルーノートから出した唯一の作品。ジャケットもブルーな印刷で、ブルーな表情の30そこそこのコルトレーンが写っている。
 コルトレーンの初期のアルバムで、この9年後には亡くなっているから、頭角を現してから弾丸列車のように駆け抜けていったわけだ。コルトレーンのサックスほど、作品によって音色が変わる例も珍しい。《My Favourite Things》の執拗な反復や、晩年のフリージャズにはついていけない人も多い。その点、初期のアルバムは聴きやすいし、メロディーを破壊していない。とはいっても、アドリブで変奏していく技術は、神業としか言いようがない。
 1曲目はアルバム名となったBlue Train。コルトレーンの作曲で、出だしはその名の通り、ブルーな陰鬱な感じで走り出すが、いったん全速力となると、チャーリー・パーカー顔負けの即興演奏となる。初期の頃のパーカーのように、音そのものの自在な戯れが延々と続く。
 2曲目のMoment's Noticeもコルトレーンの作曲で、後に多くのアーティストによって演奏され、スタンダードとして愛されている。タイトルは「一瞬の気づき」という意味で、溌剌とした力強さと、繊細な息づかいで元気づけられる。このアルバムの中で、コルトレーンの多彩な側面が味わえる傑作である。
 3曲目のLocomotionは、移動や転移といった意味で、コルトレーンのサックスと、リー・モーガンのトランペットの掛け合いが素晴らしい。成人したばかりのリー・モーガンのトランペットは、コルトレーンのサックスを超えるほどの演奏力なので、負けじとコルトレーの馬力も上がる。
 4曲目のI'm Old Fashionedは、『晴れて今宵は』You Were Never Lovelierという映画のために作られた曲。3曲目までとは異なり、コルトレーンのサックスものびやかで、ほのぼのとした抒情的な演奏となっている。ケニー・ドリューの控えめなピアノ伴奏が、昔かたぎなというタイトルが示すような、レトロな懐かしさを呼び覚ます。
 5曲目のLazy Birdはジャズのスタンダード、Lady Birdを意識したタイトルで、同じくスタンダードのLover Manのバリエーションとして作曲されたという。タイトルだけ見ると、怠け者のバードなので、怠惰なチャーリー・パーカーをイメージした曲なんだと、僕は勝手に考えている。
 ダイヤル版のLover Manで、バード(チャーリー・パーカーの愛称)は、泥酔状態でふらふらになりながら演奏している。ジャズの神様とまで言われても、こんなボロボロになってしまうんだという思いと、意識が途切れそうになりながらも、メロディーが吹ける点では天才なんだという複雑な思いにさせられる。3年前に死んだバードへの愛惜の念を込めて、コルトレーンはサックスを吹いているんだろう。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 03:13| Comment(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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