2018年07月16日

神々が降臨した地(4)

 ボート乗り場へ行ってみることにした。小道をたどって谷底まで下りていく。成人してから一度も漕いでいないので、どうしようかと思ったが、乗らなければ素晴らしい光景も目にすることができない。
 思い切って借りたのだが、案の定、漕ぎ方を忘れてしまっていた。しばらくは逆方向に進んだりして戸惑ったが、ようやく要領をつかんだ。五ケ瀬川は深い緑色で、切り立った両側の崖は、陽光が射し入るのを遮っている。刃物ですぱっと切り落としたかのように、岩の表面は平らで、三角、四角、または台形の石柱が屏風状に連なっている。
 石の橋を過ぎると、薄暗い淵に真名井(まない)の滝が清冽な水が注いでいる。これは天孫降臨の際に、天村雲命(あまのむらくものみこと)が天より水種をもたらした姿を写している。神々が切り刻んだ刃のような天然の彫刻は、阿蘇山が巨大噴火を起こしたとき、押し寄せた熔岩が川の流れで急速に冷やされたもので、上流の窓ノ浦から下流の吐合(はきあい)まで続いている。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 03:34| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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