2018年06月06日

ソニー・ロリンズ Sonny Rollinsの《ワーク・タイム》Worktime

 ジャズの中では、サックス奏者が好きである。アルト・サックスとテナー・サックスだと、アルトの方が好きだった。チャーリー・パーカー Charlie Parkerに心酔していることもあるが、弟子のソニー・スティット Sonny Stittの場合も、テナーよりアルトを吹いている方が本領を発揮していた。
 テナー・サックス奏者では、ジョン・コルトレーン John Coltraneの感情過多の演奏が、深い共感とともに、時としてやり切れない思いに引き込む。テナー・サックスでも、これほど美しく繊細な音が出せるのかと思わせたのが、スタン・ゲッツ Stan Getzである。それに対して、ソニー・ロリンズのテナー・サックスは陽気で力強く、あくまでも男性的である。
 ソニー・ロリンズと言えば、セント・トーマス St.Thomasを収録した《サキソフォン・コロッサス》Saxophone Colossusが余りに有名で、代表作と言えるアルバムである。1930年の生まれで、短命が多いジャズ・ミュージシャンの中で、90近い長寿を保っているのは、マイペースで活動してきたことや、図太い音を出すために始めたヨーガが、健康面でも功を奏しているからだろう。
 僕は若い頃の演奏しか聴いていないから、ソニー・ロリンズについては深く知らない。若い頃に最高の演奏をしているから、それで満足してしまっているのかもしれない。図太いテナー・サックスを、心ゆくまで味わいたいなら、RVG、Rudy Van Gelderによりリマスターされたアルバムを聴いてほしい。気持ちを明るく保ちたいとき、やる気を出すために鼓舞されたいときに、僕はRVGの《ワーク・タイム》を聴く。
 1曲目のThere's No Business Like Show Businessからして、陽気で力強くアドレナリンがどくどくと流れ出す。絶好調の演奏を冒頭からやってのけている。2曲目のParadoxはソニー・ロリンズの作曲で、矛盾した世界で縦横に、サックスの音を吹きまくってやるといった自信に満ちた曲、僕が一番好きな曲である。3曲目のRaincheckでも感じるのだが、ソニー・ロリンズのサックスの魅力は、吹き出しにうねるように出される響きだ。続くメロディーは目まぐるしく音程が変化し、乗りの良さは留まることを知らない。4曲目のThere Are Such Thingsでは一転して、おおらかに伸びる心の広がりを、男性的な優しさで奏でている。5曲目のIt's All Right With Meは、コール・ポーター Cole Porterの作曲で、「おれは構わない」というタイトルとは裏腹に、内に激しい葛藤を秘めた力強さを感じる。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

posted by 高野敦志 at 00:29| Comment(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: