ここまで至ると、どこからどこまでが現実で、どこからが幻覚かは分からなくなる。二人は酒蔵に住まう悪魔の夢に、夜な夜な悩まされ続ける。そして、十三歳になると怪物は忽然と消える。不信心で罰せられたという、とってつけたような教訓を添えて、投げ出すように物語を終えてしまう。
物語の一貫性をこれほど無視した作品も珍しい。各場面のイメージが、思いがけない形で結びつけられている。さまざまな宝石の破片を見せられているようで、各場面のつながりは乏しい。要するに、ネルヴァルは怪奇譚の形で、「手術台の上での雨傘とミシンの偶然の出会い」をやったのである。
思い入れのある作品であるため、拙訳をpodcast(http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en)にアップロードしてあります。よろしければ、ダウンロードしてご覧下さい。
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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