2017年06月13日

西表島は日本のアマゾン(12)

 潮がすっかり引いていた。沖のリーフまでたどり着き、外海の方でちょっと泳いでみた。ただ、いくら先に進んでも生きた珊瑚は見えない。波も打ち寄せてくるし、ちょっと怖くなった。
 振り返ると、岸は数百メートルも彼方にある。これ以上外海に浸かっていてもしかたないので、リーフと磯の間にある小島の周りを泳いでいた。そこはようやく背が届くくらいの浅瀬で、所々深みになっている。
 この頃にはシュノーケルの使い方にも慣れ、数分間は続けて泳ぎ続けた。水中の撮影ができる使い捨てカメラを使って、黄色や青のスズメダイなどの小魚が泳ぐさまを撮影した。海底の砂浜に穴を掘り、夫婦で暮らしている魚もいた。ピンクとグリーンのまだら模様の魚は人なつっこく、僕のフィンの周りで遊んでいる。
 魚たちは海底の微生物を食べているらしかった。白地に目玉模様のついたジャノメナマコ、タコやイカの子供も泳いでいた。ウミユリの仲間も見えた。細長い針を持つウニの一種であるガンガゼや、有毒のニセクロナマコの姿も見かけた。
 我を忘れて泳ぎ続けた。水族館で見る魚たちは、こちらに対して無関心である。ところが、水中では同じ空間を共有している。時として危険な、奇怪な魚ぐらいにしか思われていないのだろうが。こうして時の流れがない、生き物の感覚を取り戻した時が過ぎていった。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 02:54| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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