2017年06月12日

『男はつらいよ 望郷篇』(第5作)

 冒頭で寅次郎は夢を見る。世話になったおいちゃんが危篤となった夢を。「お兄ちゃん、泣かないで」とさくらが言っているのが、「お客さん、そんなところで寝ていると風邪引くよ」という仲居さんの声に変わる。これを虫の知らせかと思って、寅次郎はとらやに電話する。「息をしているだけだよ」というおばちゃんの冗談を真に受けた寅次郎は、御前様や近所の人においちゃんが危篤だと話し、挙げ句の果てに葬儀屋まで呼んでしまう。
 これが落語で言えば「枕」の部分である。それが連想を誘うように、竜岡親分の危篤の知らせが入る。札幌に飛んだ寅次郎は、親分がまだ見ぬ息子に一目会いたいと言って涙を流すのを聞く。探し当てた息子の説得もままならぬまま、親分の死を知った寅次郎は、人生の無常を感じて、汗水流して働くことの大切さを悟る。
 寅次郎が働き始めたのは、まだ漁師町だった頃の浦安である。豆腐屋で仕事に精を出す寅次郎だったが、娘の節子に心引かれたからだった。節子に「ずっとここにいてほしい」と言われた寅次郎は、これをプロポーズだと早合点する。実は節子には恋人がおり、結婚して高崎に引っ越すので、母親の店を寅次郎に手伝っていてもらいたかったのだ。真っ当な生き方をしようとして、失恋するいつもの顛末である。

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 01:29| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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