2016年10月29日

「指宿」は「いぶすき」(9)

 池田湖に来る途中で通り過ぎた、長崎鼻へ行くことになった。三十分ほどバスに揺られた。停留所で下車して、ぐんぐん海岸に向かって下りていく。岬の突端まで行く途中、夫婦喧嘩で閉店中という看板を出した店があった。みやげ物屋である。
 テレビでも紹介されたらしい。今日も夫婦喧嘩しているのだろうか。店の中には人影もない。全国に放送されたというのに、開店休業の状態である。仲直りしたら看板は出せないし、喧嘩していたら素通りされるし。
 下に朱塗りの神社が見えてきた。龍宮神社といい、以前は祠が祀ってあるだけだったが、真新しい社を建立して、浦島伝説の名所として振興する意図も感じられた。亀に乗った浦島太郎の像もあった。乙姫様に持たされた「玉手箱」は何だったのだろう。開けることを予想して渡したのだとしたら、悪意は感じられないだろうか。
 南国の潮風が吹いてきた。岬の先端は火山岩が削られた荒々しい磯浜だった。波が砕ける音が下から轟いてくる。男性的な風景で気持ちが引き締まった。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 02:08| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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