2021年01月26日

祖母の家(十)

 祖母の家は従姉が結婚して、二世帯住宅に改造された。外観はモダンになったが、一階は昔のままだった。祖母にはひ孫に当たる子供たちも生まれ、一時はにぎやかさを取り戻した。
 その後、伯父夫婦が亡くなり、従姉の家族も引っ越し、離婚して家に戻った伯母が、一人で暮らしていた。その伯母も体が不自由になり、一人暮らしができなくなって、老人介護施設に移ることになった。
 伯母が引っ越しをする日、僕は挨拶に出向いた。親戚の者が多く集まり、にぎやかだったことを、伯母は喜んでいるようだった。ただ、部屋の中は引っ越しでごたごたしていた。施設に持って行ける物は一部なので、残りは親戚で分け合い、大半は処分されることになった。
 戦前に祖父が建て、空襲も乗り越え、祖母が父や伯父伯母を育てた家は、九十年余りの月日を経て、ついに空き家となった。その家に人々が集うことは、もう二度とないだろう。いずれ取り壊されて更地となり、そこに家があった面影すら失われることだろう。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 01:21| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする