2020年12月31日

江戸川乱歩名義訳『ポー傑作集』

 僕がエドガー・アラン・ポーの小説を最初に読んだのは、日本語ではなく、英語の原文だった。大学受験で予備校に通っていた僕は、英語の長文読解と、小説を読む楽しみのために、ポーの小説を選んだのである。ただ、原書ではなく、対訳でもなかった。難しい単語にのみ日本語訳がついていたので、英語で作品を理解するのに役に立った。それにしても、変わった単語で修飾するのが好きだな、と感じたものである。
 大学に進学してからは、創元推理文庫の「」『ポオ小説全集』全四巻と『ポオ詩と詩論』を翻訳で読んだ。しばらくブランクを経て、四十代になった頃、『エドガー・アラン・ポー 〜怪奇と幻想の物語〜』という全11話のドラマをDVDで見た。これは多少現代風にアレンジされているが、各作品が30分弱にまとまっており、非常によくできているので、ポーのファンには見てもらいたい映像作品である。
 今回読んだ江戸川乱歩名義訳は、戦前にベストセラーとなったものであるが、実際の訳者は江戸川乱歩ではなく、渡辺啓助・渡辺温兄弟による共訳である。歴史的仮名遣いで、「そそのかす」を意味する「指嗾(しそう)」、オランウータンを表す「猩々(しょうじょう)」など、現代人には死語と思われる漢語が使われているが、日夏耿之介の詩集が好きなら、引きずり込まれてしまうに違いない。ゴシックロマンの荘重な雰囲気がよく出ている。
 どの作品も若い頃読んでいるので、馴染みのあるものばかりだが、暗号解読の「黄金虫」や、思いも寄らぬ犯人を探り出す「モルグ街の殺人」、人間心理の裏を掻く「窃まれた手紙」には、ポーの緻密な論理と奇想が、バランス良く絡み合っている。一方、新聞記事を元にした「マリイ・ロオジェ事件の謎」では、論理過多になっており、読むのに多少疲れた。
 僕が好きなのは、「黒猫譚」や「アッシャア館の崩壊」などの怪奇譚や、渦潮に呑み込まれる奇譚「メヱルストロウム」である。ただ、好きだからといって、修飾過剰な文体を真似してはいけない。ポーの文体は日本語で自身の文体を獲得しようとしている者には、麻薬のような中毒症状を引き起こす。鑑賞して味わうにとどめた方がいい。


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詩と人生「蝶と猫」(ePub)

 日本詩人クラブ、俳人協会の会員だった父、高野邦夫が、生前に行った詩と人生に関する講演を文字起こししたものです。軍国少年として予科練に志願し、終戦を境に価値観の崩壊を体験したこと、教員生活や闘病生活を通して、詩とは何か、いかにすれば詩が生み出されるかについて語っています。講演のほかに、若い頃の写真や略年譜、自身の青春について述べた肉声も収録されています。

 以下のリンクから、ダウンロードできます。
shitojinsei.epub

 父は生前に多くの詩集を出版していますが、多くはすでに品切れの状態です。それらの詩集から私が選んだ詩を『高野邦夫詩撰』としてまとめました。関心を持たれた方は、このブログ、およびpodcast(https://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en)で検索なさって下さい。

 iTunesからダウンロードする場合は、ミュージック→iTunes→iTunes Music→podcasts→当該のフォルダの下に、ファイルが入ります。
 IEでダウンロードした場合は、拡張子をzipからepubに変えて、下記のアプリでご覧下さい。

 ePubはiOSのiPadやiPhoneなどで読むのに適した形式です。iBooksでご覧下さい。Windowsでは紀伊國屋書店のKinoppy(http://k-kinoppy.jp/for-windowsdt.html)が、最も美しくePubのファイルを表示します。

 ブラウザからePubを開く場合、Googleのchrome(https://www.google.co.jp/chrome/browser/desktop/index.html)なら、プラグインのReadium(http://readium.org/)をインストールして下さい。
 firefox(https://www.mozilla.org/ja/firefox/new/)にもプラグインのEPUBReader(https://addons.mozilla.org/ja/firefox/addon/epubreader/)があり、縦書きやルビなどにも対応しています。
 EdgeではePubは開けなくなりました。

 音声の再生ボタンが現れない場合のためにePubにリンクを張りましたので、オンラインならリンクをクリックすることで再生されます。ダウンロードには10秒程度かかると思われます。最新版のiBooksやkinoppy、プラグインを埋め込んだfirefoxでは、ePub内にプレイヤーが表示され、タッチすれば再生されます。

 なお、パソコンのiTunesで「購読」したり、iOSのアプリpodcast(https://itunes.apple.com/jp/app/podcast/id525463029?mt=8)でマイpodcastに登録すれば、確実に新しいエピソードが入手できます。


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2020年12月30日

日本という国名

 日本という国名はどこから来たのか。『魏志倭人伝』には、竹斯國 (筑紫国)の東方に秦王国という国があり、住民が華夏(中国)と同じだと記している。聖徳太子が「日出處天子(日出る處の天子)」という国書を隋に送ったとされる飛鳥時代に、実はまだ国家統一がなされていなかったのだろう。倭国の存在自体が、九州と朝鮮半島南部にまたがる海峡国家だったとする説もあり、東日本には日高見国という別国家も存在したとされる。
 『旧唐書』には「倭国伝」と「日本伝」があり、倭と日本が同じ国であるという説と、異なる国であるという説を併記している。これは九州を中心とした倭国と、九州から東北南部まで支配した日本国を、同じ国としてとらえるか、別の国としてとらえるかで、編者が悩んでいたからだと思われる。
 白村江の戦いで、倭と百済の連合軍は、唐と新羅の連合軍に敗北する。百済が滅亡したように、倭も唐によって解体されたと見るべきで、日本を建国させたのは、唐の則天武后だという(「武后改倭國為日本國」「倭國武皇后改曰日本國」『史記正義』)。則天武后の子が天武天皇であり、壬申の乱は倭国滅亡と日本国建国を改竄した歴史だというのである。
 最後に、日本という国名であるが、「日本語」「日本書紀」を「ニホンゴ」「ニホンショキ」と読ませることから、「ニホン」の方が本来の国名であるように思われがちであるが、古代の日本語ではハ行の子音はP音で発音されていたので、「ニチポン」「ジツポン」「ニポン」「ジポン」などと発音していたはずである。(日は呉音では「ニチ」、漢音では「ジツ」である。)現代中国語の声調では rìběn だが。マルコ・ポーロが『東方見聞録』でZipanguと記し、フランス語のJapon、英語のJapanという呼び名も生まれたのだろう。
 したがって、現代人には「ニホン」の方が正統な読み方のように感じられるが、復古的には「ニッポン」ということになる。要するに、いずれが正統かというより、日本語の発音の変遷がからんでいるので、どちらも正しいというのが答えだろう。


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