2020年10月06日

十六歳の修学旅行(5)

 僕は自分の部屋に戻った。頭がぼんやりして、腕時計をしたまま入浴してしまった。お湯の中で秒針が動いてるのを見て、あわてて腕を出したから、壊れずに済んだのだが。
 さて、自分一人になったので、普段は見られないテレビでもやってないか、チャンネルを回していたら、何とオカマバーの番組をやってるではないか。男のはずなのに、女のように可愛らしいのもいる。整形した胸は、女の物の方が美しいと思ったが。しかも、芸能人が仮装しているのでなく、女になりたくて女装している世界は、生々しい妖気が漂っていた。
「こんな世界もあるんだな」
 ベッドに横たわった女の生足の後で、女装した男たちを見たことは、十六歳の少年には余りに刺激的だったようだ。眠っている間も興奮していたらしく、朝目覚めたら……。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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