2020年07月22日

鳴門の渦潮に近づくと(4)

 ちょうどそのとき、太平洋側から貨物船が近づき、渦巻く海峡の手前で立ち往生していた。潮の流れをあの船はじっと読んでいるんだろう。
 潮は右回りに渦巻くと、糸巻きの糸のように解けていく。生じてはまた消える。大潮の時のような直径二十メートルにも及ぶ渦も、こうした小さな力が集まって生まれる。
 向こうに大型の観潮船が見えるが、立ち往生した船のように動かない。
「あそこじゃ、白い波しか見えんよ」とおじいさんは言う。渦潮は海釜と呼ばれる瀬戸内側の淵から、狭く浅い海峡に一気に這い上がってくる潮のために生じる。すでに午後一時を回っている。大きな渦が生まれようとしている。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 01:51| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする