2020年04月30日

伊豆大島への旅(11)

 港の岸壁に沿って歩いていく。底の岩まで透けて見える。段々状のコンクリートからロープが下がり、漁船が数隻引き上げてある。防波堤の彼方には利島が見えた。海の上に突き出たとんがり山って感じだ。
 その先、弘法浜は砂浜で、海水浴を楽しんでいる人が大勢いる。眺めているうちに、我慢できなくなった。トイレで着替えると、体操をして波の中に身をゆだねた。海水は温かく澄んでいる。数メートルも進むと、もう背丈が届かないが、底がよく見えるので怖くない。
 これほど美しい海に慣れてしまえば、もう湘南辺りの海には入れない。海に入るのは十年ぶりぐらいだった。懐かしく気持ちも自然となごんでいく。波の満ち干に揺られながら、内にあった緊張がすべて解きほぐされていく。これは快楽そのものだ。無邪気に恋人とビーチボールで遊んでいる男女を見ても、嫉妬の気持ちは起こらない。相手の気持ちと同化することができるからだ。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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『バベルの図書館』をめぐって(ePub)

 アルゼンチンの作家ホルヘ・ルイス・ボルヘスが選んだ世界文学全集『バベルの図書館』について、自由な形で書いたエッセイを一冊にまとめました。元の作品を読んでいなければ分からないというわけでもないので、気軽に読み流していただければと思います。
 以下のリンクからダウンロードして下さい。
Babel.epub

 iTunesからダウンロードする場合は、ミュージック→iTunes→iTunes Music→podcasts→当該のフォルダの下に、ファイルが入ります。
 IEでダウンロードした場合は、拡張子をzipからepubに変えて、下記のアプリでご覧下さい。

 ePubはiOSのiPadやiPhoneなどで読むのに適した形式です。iBooksなどでご覧下さい。Windowsでは紀伊國屋書店のKinoppy(http://k-kinoppy.jp/for-windowsdt.html)が、最も美しくePubのファイルを表示します。

 ブラウザからePubを開く場合、。Googleのchrome(https://www.google.co.jp/chrome/browser/desktop/index.html)なら、プラグインのReadium(http://readium.org/)をインストールして下さい。
 firefox(https://www.mozilla.org/ja/firefox/new/)にもプラグインのEPUBReader(https://addons.mozilla.org/ja/firefox/addon/epubreader/)があり、縦書きやルビなどにも対応しています。
 EdgeではePubは開けなくなりました。

 なお、パソコンのiTunesで「購読」したり、iOSのアプリpodcast(https://itunes.apple.com/jp/app/podcast/id525463029?mt=8)でマイpodcastに登録すれば、確実に新しいエピソードが入手できます。 

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2020年04月29日

伊豆大島への旅(10)

 その夜も三原山荘に泊まった。合気道の先生から、小笠原諸島の話を聞いた。美しい海で泳ぐ熱帯魚は、肉がぶよぶよで大味だということだ。入江で一メートルもの鮫の胴をつかんで、丘に投げ出してやったことを、船員に話すと信じてもらえなかったが、きちんと写真に撮影してあるとも。僕が十一年後、小笠原を訪れたのは、この時に聞いた話の影響が大きい。
 今日は一番天気がいいかもしれない。ユースホステルを出た後、元町の海岸に向かった。伊豆半島が目の前に見えるではないか。熱海や伊東への高速ジェット船なら、一時間もかからずに着くらしい。
 最初に訪れたのは、源為朝の館跡。朱塗の門の中にある。大弓を引いた為朝は、保元の乱で崇徳上皇に味方して敗北、ここ伊豆大島に流されたが、国司に従わなかったため、追討の軍を差し向けられて自害した。為朝の墓のほか、為朝神社や物見台が残っている。ここからは対岸の伊豆半島が見える。元は海岸まで通じる抜け穴もあったらしい。
 為朝が大島では死なずに、琉球に逃れて初代の王舜天になったという伝説が、今でも沖縄では信じられている。曲亭馬琴作『椿説弓張月』の元ネタである。(つづく)


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