2020年01月27日

「贋作 男はつらいよ 夕焼けの寅やん」

 本物での芸者ぼたんは、太地喜和子が演じたが、贋作では田端智子の配役となっている。歌麿の浮世絵に出てきそうな美人に対し、田端は朝ドラ『私の青空』で、逃げ出した新郎を、花嫁姿で追いかけ回すヒロインという印象が強い。東北の娘というイメージだったが、田端自身は京都生まれなので、祇園の芸者という設定の方が、むしろふさわしいのだろう。
 物語の筋は「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」にかなり忠実である。寅次郎と親しくなったぼたんは、金銭上のトラブルに巻き込まれていた。うまい投資の話に乗せられ、こつこつ貯めた四百万円を、奪い取られたのである。しかも、話を勧めた社長は、投資先が倒産したんだから、自分も被害者だという一点張り。
 そこで、タコ社長がボタンの付き添いをして、投資を勧めた相手と交渉するのだが、マンションや店舗は、妻や兄弟の名義なので、一銭も払えないという。役に立てずに戻ってきたタコ社長に寅次郎は激怒し、落とし前を付けてやるといきり立って飛び出す。ようやく極道の寅次郎らしくなる。その姿にぼたんはうれし泣きする。
 ただ、寅次郎は騙した相手役には出会えず、日本画家の池内青観に、絵を描いて売り、ぼたんを助けてほしいと言いにいく。金のために絵は描けないと断る青観に、寅次郎は暴言を吐くことしかできない。結局、何もできなずにさくらに見送られ、石切から近鉄奈良線に乗って旅に出る。柴又から京成金町線に乗るように。
 後日、寅次郎は芸者をやめたぼたんとぱったり出会う。老人のデイサービスをする施設で、ヘルパーとして働くぼたんは、青観に贈られたぼたんの母の絵を、寅次郎に見せる。願いを聞いてくれた青観の住む京都に向かって、寅次郎は合掌してお辞儀をする。本物とほとんど同じ結末である。
 最終回になって、贋作のスタッフも本領を発揮したわけだが、僕は東京近郊の出身なので、江戸弁でまくし立てる車寅次郎と、下町のおいちゃん、おばちゃんの世界の方がしっくりくる。同じ日本でも舞台は現在の大阪であり、昭和時代の東京のような懐かしさはない。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 02:01| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする