2020年01月04日

山田洋次の『悪童(ワルガキ)』(2)

 だから、この小説のままではドラマ化は難しく、岡田惠和のシナリオでは原作の大幅な脚色と改変が行われた。大きく異なる点をいくつか挙げてみよう。寅次郎の叔父の竜造は、原作では東京大空襲で妻つねと逃げ惑うが、ドラマでは出征したことになっている。タコ社長の印刷工場に働きに来たサトコが、うなぎ屋の職人に弄ばれるところは同じだが、原作ではタコ社長と職人が取っ組み合いをしている。英語教師坪内散歩の妻は、原作では不倫して出ていったことになっているが、ドラマでは病没した設定になっている。養母の光子の病気に気づいたのは、ドラマでは散歩先生だが、原作では光子の体をマッサージした按摩ということになっている。父平造が光子の葬儀のとき、大声で泣いたという逸話が、ドラマでは平造が家を空けてる間に光子が亡くなり、喪主を務めた寅次郎に父平造がからんだことが、寅次郎出奔の原因になっている。
 したがって、岡田惠和のドラマは要点では原作に忠実だが、細かい点ではかなり設定が異なっている。そうした脚色や改変は、実際にドラマを見た印象から述べると、非常に成功している。
 なお、今回の改版で『悪童』には、文化放送で流された倍賞千恵子の朗読の抜粋が、CD2枚の形で付属している。情感のこもった朗読と、『男はつらいよ』で流された音楽や効果音が一体となり、ほのぼのとした場景が目に浮かぶ。原作とドラマの違いは、変奏曲のようなもので、小さな違いよりも、湧き上がる感動に身を任せればいい。


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