2019年12月03日

ぼくがイヌ派だった頃(34)

 ついに、家を取り壊す日が訪れた。玄関のガラスが割られ、土足で職人が家に入ってきた。チェーンソーが庭木を、片っ端から切り倒し始めた。大五郎はとりあえず、仮の住まいとなったアパート前に連れていった。
 元の家に戻ってみると、僕の部屋はブルドーザーで壊され、家の三分の一は崩れ去っていた。夕方、仕事先から帰ると、大水害に遭ったかのように、家は瓦礫の山と化していた。アパート前に移動した犬小屋の中で、大五郎は不安そうにしていた。
 普段はおとなしいのだが、環境の変化についていけなかったのだろう。挙動不審になったので、アパートの隣人には、くれぐれも手を出さないでほしいと言っておいた。ただ、頭をなでるとしっぽを振っているので、つい気を許した隣人が手を伸ばし、歯を当てられてしまった。そこで、更地になった地所に犬小屋を戻し、大五郎だけ殺風景な庭に置いておくことになった。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 01:59| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする