2019年12月31日

プレーリードッグのキョロ(2)

 当初、僕はプレーリードッグが、どんな動物であるかよく知らなかった。体格は大きなネズミほどで、毛並みは焦げ茶色、前歯が発達していて、牧草などをよく噛みきる。後ろ足で立ちながら、前足の指で握って食べるところは器用である。ケージの中には、クッションと餌を兼ねた干し草が敷かれ、固形のペレットや、ひまわりの種なども与えていた。
 妹はプレーリードッグに、キョロという名前をつけた。森永のチョコレート菓子に、キョロちゃんというマスコットがある。アーモンドの胴体をした鳥のイメージだが、愛嬌があるところはちょっと似ている。プレーリードッグがキョロキョロしているから、キョロと名づけたのかもしれない。
 妹はキョロを台所に放して遊ばせていたが、見ていないとあたり構わずかじるので、ふだんはケージに入れていた。運動不足にならないように、回し車が中に置かれた。慣れるとよくくるくる回っていた。
「何だ、プレーリードッグとか言っても、ネズミみたいなものじゃないか」
「キョロ、キョロ」と言って可愛がる妹がいないところでは、僕はプレーリードッグのことを「キョロネズミ」と呼んでいた。(つづく)


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懐かしのチベット(pdf)

 チベットの自然と文化に触れた心の旅を、紀行文の形でまとめました。古代チベット王の霊廟や宮殿、ヤルツァンポ川の流れ、チベット仏教の寺院、神秘の湖、ポタラ宮とダライラマの離宮などを巡りました。付録として西安の大雁塔、楊貴妃で有名な華清池、始皇帝陵についても触れました。
 今回はパソコンでもすぐに開けるpdf版を公開します。Adobe Acrobat Readerの「フルスクリーンモード」だと、バーチャルな書籍がモニターに再現されます。以下のリンクからダウンロードして下さい。
Tibet.pdf

 iTunesからダウンロードする場合は、ミュージック→iTunes→iTunes Music→podcasts→当該のフォルダの下に、ファイルが入ります。
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2019年12月30日

カルロス・カスタネダの『時の輪』

 カルロス・カスタネダの著書を「隔靴掻痒」だと感じるのは、ドキュメンタリー形式の物語によって、ドン・ファンの思想が断片的に語られているからである。しかも、初期の著作では、カスタネダの西洋流の合理主義が、ドン・ファンの思想と格闘しているので、読者は何が思想の中核となっているかとらえがたいのである。
 ドン・ファンの思想が分かりやすく説かれるのは、『力の話』以降である。幻覚性の薬物や夢見の術は、西洋流の合理主義への固執を打ち砕くためのもので、「ナワール」の世界に触れるための手段に過ぎないことが分かる。『ドンファンの教え』で説かれる「見る」という用語も、宇宙のエネルギーの波動を感じ取ることであると知るには、処女作を読むだけでは難しいだろう。
 無宗教とされる現代日本人でも、東洋的な精神世界に触れることは可能である。その予備知識があれば、ドンファンが語る世界を理解する手がかりとなる。ドンファンの語る世界は、言葉を超えた直観によってとらえられるもので、仏教では「無分別智」と呼ばれるものに相当する。宇宙がエネルギーで支えられているという考えも、「気」という存在が身近な日本人には理解しやすい。気功やヨーガの奥義では、エネルギーを五感でとらえる訓練が行われる。
 カスタネダが晩年に、ドン・ファンの言葉として、自身の著作から収集した『時の輪』は、ドン・ファンの言葉に通底する思想を、分かりやすい形で提示してくれる。ただし、いきなり本書を読んだだけでは、理解することは難しいだろう。「戦士」という用語にしても、修行者に相当する意味で用いられているのを知るには、『ドンファンの教え』をはじめとする著作を読んでおく必要がある。
 ドン・ファンが実在したかどうかは、明らかではない。カスタネダがフィールド・ワークの中で出会った複数のネイティブ・アメリカンの言葉が、ドン・ファンという架空の人物の教えとして提示されたのではないか、という推測も成り立つ。
 ただし、カスタネダの主張するところによれば、『力の話』の元となる思想を伝授した後、ドン・ファンはこの世を去る。それ以降の著作は、カスタネダが修得したとされる「場面再生」によって純化されたドン・ファンの言葉と、それ以降にカスタネダを指導したとされるフロリンダ・マトゥスの言葉から生まれたということである。


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