2019年11月07日

嵐の迫る阿寒湖で(5)

 チュウルイ島を出てからは、後は帰港するだけだった。八十五分の船旅は終わった。ホテルHに戻って夕食を取った。部屋に戻ってからフロントに行き、幸福の森桟橋近くにあるホテルTの温泉に、送迎バスで送ってもらった。ホテル間で契約が結ばれ、宿泊客は希望する温泉に入浴できるシステムになっていた。
 ホテルTに到着した。この手の豪華なホテルにはなかなか泊まれない。建物の中には地下街のような店舗が並び、アイヌ神話のフクロウの神像や、異界を想起させる少女の木像が展示され、リラックスする音楽スペースなどもあった。
 屋上の大浴場が素晴らしかった。規模は大きくないが、ブルーの光に照らされた浴槽は、かがり火を模した赤いライトに囲まれ、幻想的な雰囲気を醸し出している。ツボ湯やジェットバスもあった。嵐が近づきつつあるため、時折小雨が吹きつけてくる。真っ暗な雲の間を縫って、異教の神々が駆け抜けていく気配がした。
 ホテルHに送迎バスで送ってもらった。天気予報だと、台風は温帯低気圧に変わって、北海道を東に横断するようだった。だとすると、明日は一日雨が降るのだろう。タウシュベツも豪雨で、橋の下は水没するかもしれない。ベッドの上に服のまま横たわると、そのまま寝てしまった。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 12:54| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする