2019年11月01日

嵐の迫る阿寒湖で(3)

 あとは阿寒湖に向かうだけだった。午後四時半過ぎにホテルHにチェックイン。ここは二年前に泊まったホテルSのすぐそばだった。前回は湖畔に泊まりながら、翌朝すぐにオンネトーに行ってしまい、素通りしたようなものだった。湖岸が道路に接しているのは温泉街だけで、阿寒湖の全貌を知るには船に乗るしかない。ホテルの窓から覗くと、遊覧船が入港して、乗船が始まっている。これから台風が来るから、明日は欠航になるかもしれない。すでに七分しかなかったが、走って行くことにした。
 まりもの里桟橋から、何とか乗り込むことができた。二階には僕と友人の他は誰もいない。貸し切りみたいだと笑っていたら、次の乗船場、幸福の森桟橋で中国人観光客が大勢乗ってきた。
 船が沖に出るにつれ、風がやや強くなってきた。波が少しある。船は滝口に向かっている。といっても、滝があるわけではない。細い川のような入江を進んでいく。湖岸まで森林が迫っており、人手の入らない原始の密林に入っていくような。僕は西表島で浦内川を遡行したときのことを思い出した。マングローブのように、木々の根が湖水に浸っているようだった。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 02:19| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする