2019年10月27日

ぼくがイヌ派だった頃(32)

 では、大五郎は喧嘩したことがないか、というとそうではない。負けん気が強い方だから、サイレンにはしっぽを巻いても、本物の犬に脅えることはなかった。まあ、ライオンみたいな顔したチベット犬でも出て来たら、逃げ出したかもしれないが。
 ある日、母が大五郎を散歩に連れだし、やたらに鳴くスピッツのいる家の前まで来た。そいつはジャンプして、ブロック塀の上から顔を覗かせていたものだ。大五郎が挑発してうなると、何とブロック塀を乗り越えてしまった。でも、鎖につながっていたので……
 スピッツは首つりになってしまった。あわてて母は呼び鈴を鳴らし、事なきを得たのだが。その出来事を母は「大五郎の武勇伝」として、得意げに語って聞かせた。取っ組み合いすらしていないのだから、武勇伝どころか、戦ったことにもならないだろうに。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 02:58| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする