2019年10月15日

ぼくがイヌ派だった頃(30)

 とにかく、大五郎が臆病だったことは、お分かりいただけたと思う。臆病な犬ほどよくほえると言うが、大五郎の場合は、声の大きさが並外れていた。ドスがきいた応援団長が、絶叫しているみたいだった。鳴き出すとしばらく止まらない。周囲の丘に響いて山彦となり、自分の声とともにワンワン輪唱してるみたいだった。
 恐らく、迷惑に感じている人が多かったろう。二十世紀の頃だったから、世の中は今ほどピリピリしていなかったが。ただ、団地に住むお婆さんから感謝されたことがある。
「お宅のワンちゃんが鳴くと、息子が帰ってきたのが分かるんですよ」
 その頃はうちの横はまだ畑で、一郭が駐車場になっていた。そこに輸送トラックがバックする音を立てて入っていくから、大五郎がひときわ大声で鳴きまくり、本人より先に帰宅を知らせたというわけだ。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 03:34| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする