2019年10月05日

ぼくがイヌ派だった頃(29)

 翌朝、台風一過で晴れ上がっていたが、吹き返しで、まだ風は強かった。僕は昨夜の騒動を見過ごすことができず、大五郎に向かって怒りを抑えられなかった。大きく開いた雨戸の穴を指さしながら。
「何だよ、これは何だよ」
 しかし、大五郎はしかられている意味が分からない。どうして夜中助けてくれなかったのか。そればかりか、せっかく開けた穴のことで、怒り出すなんてひどい!
 おびえたように背を向けて、小屋の中に頭を突っ込んでいる。僕は勢いに乗って、大五郎をしかり続けた。
「これは何だよ!」
 次の瞬間、大五郎は振り向きざま、僕の手を噛んだ。痛みとともに血が噴き出した。怒りが頂点に達した僕は、サンダルを拾い上げると、大五郎の頭を思い切り叩いた。それから一週間、散歩にも連れていかなかった。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 00:00| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする