2019年10月17日

タウシュベツは崩壊寸前?(5)

 タウシュベツ川橋梁は、夏から秋にかけて水中に沈み、冬になると湖水から顔を出す。そのため、コンクリートの表面ははがれて、砂利がむき出しになっている。風が吹くと小石が落ちてくるので、周囲に近づかないように、ロープが張られているが、無謀にも橋の上を歩いたり、下をくぐる者がいるらしい。
 二〇〇三年(平成一五)の十勝沖地震で、タウシュベツ川橋梁は被災した。湖底に沈んでいる間だったが、橋の側面が二ヶ所崩れ落ちた。もし水面に出ている間だったら、完全に倒壊していたことだろう。二〇一七年(平成二九)に湖水から現れると、橋の両端が崩落していたことから、タウシュベツがアーチの形を保ったまま見られるのは、今年か来年までで、限界が近いと言われている。
 底に下りることにした。傘や枯れ枝を杖代わりにして。拳大の石が多数転がっている。干上がった湖底は草原で、赤い小さな花が咲いている。切り株が散在している。ダムができた時に切り倒されたものだ。例年なら梅雨開け頃から湖水が増え、水位が三十メートルも上がるのに。昨年の今頃は台風の影響で、ほとんど水没していた。(つづく)


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2019年10月16日

タウシュベツは崩壊寸前?(4)

 途中から林道に入った。道の入口には柵があり、事前に借りてきた鍵で錠前を開ける。鍵は許可を受けた二十人に渡される。熊の生息域なので、徒歩で侵入するのは危険である。道の両脇に茂る蕗を食べに、熊がしばしば出現する。食べちらかしたあたりは、蕗が倒れたり、茶色く枯れている。
 車が止まった。奇蹟的に雨はやんでいた。そこからは糠平ダムに沈んだ、旧士幌線の線路跡を進んでいく。林の中に続く道には、流木が横たわっている。糠平湖が満水の時に押し流されてきたものだという。ここを歩くことができるのも、渇水が続いているためである。
 正面に壊れかけた橋が見えてきた。端の部分が崩れているが、かつては線路跡がまっすぐ対岸に延びていたのが分かる。時計を見ると、午前九時半である。十時十五分まで自由行動となった。糠平湖の水は少なく、湖水はまだはるか彼方にある。一面には草原が広がり、小川が流れ下っている(つづく)


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2019年10月15日

ぼくがイヌ派だった頃(30)

 とにかく、大五郎が臆病だったことは、お分かりいただけたと思う。臆病な犬ほどよくほえると言うが、大五郎の場合は、声の大きさが並外れていた。ドスがきいた応援団長が、絶叫しているみたいだった。鳴き出すとしばらく止まらない。周囲の丘に響いて山彦となり、自分の声とともにワンワン輪唱してるみたいだった。
 恐らく、迷惑に感じている人が多かったろう。二十世紀の頃だったから、世の中は今ほどピリピリしていなかったが。ただ、団地に住むお婆さんから感謝されたことがある。
「お宅のワンちゃんが鳴くと、息子が帰ってきたのが分かるんですよ」
 その頃はうちの横はまだ畑で、一郭が駐車場になっていた。そこに輸送トラックがバックする音を立てて入っていくから、大五郎がひときわ大声で鳴きまくり、本人より先に帰宅を知らせたというわけだ。(つづく)


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