2019年09月26日

猫の家出(6)

 夕方、罠を仕掛けておいた。弟の猫は近寄ってきた。唐揚げが匂うのか、入口から中を覗いている。でも、何だか怪しいと思ったのか? 実は子猫の時代に、母猫を捕まえて避妊しようと妹が言い出し、庭に罠を仕掛けたことがあるのだ。一回目は食いしん坊の兄の方が捕まり、二回目は母猫が捕まったものの、罠を持ち上げた途端に、入口をこじあけて逃げてしまった。
 あれから三年近く経つが、もしかすると覚えていたのかも? 同じ手には乗らないぞとでも思っているのか。
「よほど飢餓状態にでもならないと、罠に引っかからないわ」
 日が暮れてしまった。妹はため息をつくと、家の中に入ってしまった。僕は蚊に刺されながら、家の陰から罠の方を観察していた。暗がりから猫が、再び近づいてきた。入口に足を入れようとしている。でも、よく見ると、妹、妹の猫じゃないか。妹が捕まったところを見たら、弟の猫は絶対に罠にかからないだろう。
「こらっ」
 怒鳴った途端、妹の猫の後ろにいた、弟の猫も逃げてしまった。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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ラベル:猫,家出,罠
posted by 高野敦志 at 03:06| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする