2019年09月24日

猫の家出(5)

 妹が北海道から帰ってきた。僕は猫を脅えさせないように、しばらく餌だけやって、一緒に遊べるようになったら、家の中に入れればいいと言った。一旦は賛成した妹だが、ほどなく獣医のところに相談しに行った。
「私、疲れちゃった」
 電話をかけてきた妹は、野良猫みたいになった猫を、また飼い猫の状態まで戻すのに、気が遠くなってしまったらしい。すぐに庭に出たがる猫は、容易なことでは捕まらないだろうと獣医に言われ、罠で捕まえようと持ちかけてきた。
 猫との信頼関係を取り戻すことを考えていた僕は、騙して捕まえるという方法は気が進まなかった。とはいえ、いつ捕まるという当てもないので、試してみればいいと答えた。
 早速、妹は猫を捕獲する罠を借りてきた。鉄製の檻の奥に、斜めに延びた棒があり、そこに餌を挿しておく。魚の肉は軟らかいので、食い逃げされてしまう。鶏の唐揚げはよく匂うし、突き刺さっていると、なかなか抜けない。取ろうとして引っ張ると、入口の蓋が閉まる仕組みになっている。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 01:26| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする