2019年09月10日

ぼくがイヌ派だった頃(26)

 大五郎はどんな性格の犬だったんだろう。愛嬌があって、頭をなでられると、目を輝かせ、口からあふれ出る舌を出して、愛情の表現で顔や腕をなめてくる。その一方で、雨の日が続いて散歩にいけなければ、不機嫌な顔してふさいでいる。
 散歩に行くときと、餌をもらうときには、とにかく大声で鳴く。向こう三軒両隣どころか、向かいの丘にはねかえって、こだまするほどの声で鳴く。素直な性格だから、我慢するということも知らない。
 僕が一番印象に残っているのは、大五郎が臆病であるということだ。特に、遠くから聞こえる音楽や、とりわけ、救急車のサイレンに反応した。サイレンに合わせて、ウーウーと短調の声で鳴き続ける。人の命が途絶えかねないときに、葬送曲みたいな絶唱を聞かされると、飼い主のこちらまで滅入ってしまう。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 01:52| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする