2019年09月09日

ぼくがイヌ派だった頃(25)

 庭の中を駆け回るのを覚えると、庭から脱走したいと思うものだ。猫の場合なら、助走もせずに、垂直に一メートル以上ジャンプできる。それだけ身軽で、後ろ足には頑強な筋肉がついている。
 犬の場合は体が大きいから、瞬発力では猫に劣る。ブロック塀や柵があれば、一応逃走は防げるというわけだ。ただし、塀に向かって直線に走れる場合には、助走をつけて塀を駆け上がり、乗り越えて道路に出てしまう。
 大五郎はすぐに習得してしまった。庭に放すときはいつも見張っていて、万一出てしまったときは、肉の塊で釣っておびき寄せる。犬は道路しか移動しないし、呼べば寄ってくるから、捕まえることは難しくない。そこが猫と大いに異なる点だ。
 庭の中を走り回っているときでも、捕まえられてつながれるのは、犬にとっては苦痛だろう。それを察すると、庭の中を必死で逃げ回る。その場合にも、肉の塊を見せるのは有効である。
 僕はすぐには与えず、大五郎の鼻先でひょいと肉を持ち上げる。すると、人の頭上辺りまでジャンプして、塊を取ろうとするが、そうはさせまいと持ち上げるから、大五郎はサーカスの曲芸みたいに、しばらくぴょんぴょん跳ね続ける。疲れたところで塊を与え、食べているうちに、首輪をつかんでつないでしまう。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 01:10| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする