はぎわら ふぐの『火山はめざめる』は、火山活動が人間にとってどのようなものか、噴火の状況やその時代の風俗を、子供にも分かる絵本の形でまとめたものである。
浅間山の噴火の歴史が、四つの噴火を例に描かれている。火山はほとんど休んでいるから、活動していない時は考えなくても、大抵問題はない。噴火活動が始まっても、そのうち止まるだろうぐらいにしか思わない。
それは自分自身の知っている範囲で、火山の噴火をとらえているからである。昭和時代の浅間山は、ブルカノ式噴火をしていた。火山灰を噴き出し、噴石をいくらか飛ばすくらい。警戒していれば、生命に危険を及ぼすことはない。日本人にとっての浅間山のイメージは、こんなものではないか。
ところが、江戸時代の天明大噴火では、軽石と溶岩を大量に噴き出した。噴煙が柱となって上り続け、支えきれなくなって大規模な火砕流となり、麓の鎌原村を襲った。鬼押し出しはそのときに噴出した溶岩である。プリニー式噴火と呼ばれ、ポンペイの街を滅ぼしたのもこのタイプである。
平安時代の天仁大噴火では、さらに規模が大きい追分火砕流を引き起こした。軽井沢はこのとき埋め立てられ、平坦な台地となった。それだけではない。浅間山は二万五千年前に、山体崩壊を引き起こした。その際の土砂なだれは、前橋、高崎、佐久平まで到達した。浅間山はこのような大災害を引き起こす危険な火山だが、何も知らない人の目には、穏やかに煙を吐く火山としか映らない。
参考文献 はぎわら ふぐ作・早川由紀夫監修『火山はめざめる』(福音館書店)
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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