そこで、野良の虎猫イッパイアッテナの世話になり、生きるための知恵をつけていく。イッパイアッテナというのは、野良猫として生きるために、いろいろな所でえさをもらい、場所によって呼ばれる名前が違うからである。
ルドルフはイッパイアッテナに、人間の文字を教えてもらう。それによって、自分の能力が伸びていくのを感じる。やがて、ルドルフは習った文字を頼りに、ヒッチハイクでリエちゃんの待つ岐阜に戻る。これはちょっと無理な設定である気もするが、観客の小学生に、学習することの喜びを伝える効果がある。
岐阜に戻ったルドルフだが、リエちゃんのうちには、自分と同じ名前の子猫がいた。それを知ったルドルフが、家を出て行く場面は悲しい。飼い主の女の子にとって、猫は生きた縫いぐるみに過ぎなかったからである。
猫が飼い主のことをすぐ忘れてしまうというのは、誤解なのだろう。野良になった猫は、えさをもらうために、媚を売らなければならない。だからといって、飼い主を忘れてしまうわけではないのだ。子供の時に飼っていたライオンに、数年後に会いに行ったら、喜んで抱きついてきたという話があるくらいだから。
「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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