2019年08月05日

お七と吉三郎

 だから、俺は女が苦手なんだよ。お七は別嬪だし、一途なところあるだろ。寺の中で逢い引きしようとするし、親のうちに連れ込もうとまでするんだから、ついつい情にほだされちまったってわけさ。いくら火消の俺の姿が見たいからって、付け火なんかするかい? 付け火は天下の大罪だ。お役人が不憫に思って、年を偽るように言ってくれたのに、本当の年を白状しちまいやがった。あいつの恋とやらにいかれちまって、家を焼かれた奴まで、火あぶりになったお七に涙を流したっていうじゃないか。おかげで俺のことまで世間に知れ渡っちまって、兄貴に不義理をしたのばれちゃったよ。ふてえ野郎だって兄貴には縁を切られるし、寺に入れられて坊さんには……


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 01:47| Comment(0) | ショートショート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする