2019年08月18日

ぼくがイヌ派だった頃(20)

 大五郎は小便を漏らしていた。すぐに目を覚ましたのでほっとした。けがはないか調べたが、擦り傷が見られる程度だった。軽かったので、ボールのようにはじき飛ばされ、落ちた先が草の生えた駐車場だったことで、事なきを得たのかもしれない。
 心配になって、僕が子犬を抱き、母と妹も動物病院についていくことになった。その頃はすでに、サブを診てくれた獣医は亡くなり、山を越えた向こうの町まで歩いて行かなければならなかった。
「目立った外傷もないし。脳震盪でも起こしたのでしょう」
 何か問題が起こらなければ、もう来なくてもいいということだった。(つづく)


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2019年08月17日

今は亡き宇宙物理学者(二)

 ブラックホールを探索していたときです。事象の地平線に近づくと、周囲の恒星からガスが引き寄せられていくのが見えました。ブラックホールとはよく言ったものです。その先は、文字通り黒い穴なんですから。私の体も強い力で引き延ばされていくのを感じました。
 でも、私は死ななかった、というより、もう死んでいるんです。一瞬でブラックホールの中心にたどり着きました。精神は肉体ではないから、破壊されなかったのか。しかし、ブラックホールの内部では、すべての情報が破壊されるはずだ。私の魂も木っ端微塵となっているはずなのに。だとすると、私はブラックホールに吸い込まれた夢を見ているのか。でも、辺りは漆黒の闇しかない……


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2019年08月16日

アニメ『ルドルフとイッパイアッテナ』

 外の世界をちょっと見るだけのつもりが、、そのまま行方知れずになってしまう猫は多い。黒い子猫ルドルフも、軽い気持で飼い主のリエちゃんの後について出たのだが、魚屋に追いかけられて逃げ込んだトラックで、東京の江戸川区まで運ばれてしまう。
 そこで、野良の虎猫イッパイアッテナの世話になり、生きるための知恵をつけていく。イッパイアッテナというのは、野良猫として生きるために、いろいろな所でえさをもらい、場所によって呼ばれる名前が違うからである。
 ルドルフはイッパイアッテナに、人間の文字を教えてもらう。それによって、自分の能力が伸びていくのを感じる。やがて、ルドルフは習った文字を頼りに、ヒッチハイクでリエちゃんの待つ岐阜に戻る。これはちょっと無理な設定である気もするが、観客の小学生に、学習することの喜びを伝える効果がある。
 岐阜に戻ったルドルフだが、リエちゃんのうちには、自分と同じ名前の子猫がいた。それを知ったルドルフが、家を出て行く場面は悲しい。飼い主の女の子にとって、猫は生きた縫いぐるみに過ぎなかったからである。
 猫が飼い主のことをすぐ忘れてしまうというのは、誤解なのだろう。野良になった猫は、えさをもらうために、媚を売らなければならない。だからといって、飼い主を忘れてしまうわけではないのだ。子供の時に飼っていたライオンに、数年後に会いに行ったら、喜んで抱きついてきたという話があるくらいだから。


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