2019年08月28日

ほったらかし温泉の前に(2)

 温泉はさらに丘の上にあるらしい。歩き始めたら、右側に小さな平屋の住宅があった。横溝正史館とある。へえ、何でこんな所に? ちょっと興味を持った。入場料は百円とある。入口にいた学芸員らしい女性が、「百円以上の価値はある。面白い」と勧誘する。勧められるままに中に入った。
「横溝正史さんのファンですか」と聞かれたので、「ファンと言うほどではないけど、生前に毎日新聞にエッセイを連載されていたのを読んでいた」と答えた。
 ここは横溝正史が生前に書斎として使っていた離れで、世田谷区の成城にあったものを、遺族が取り壊すと聞いて、解体してここに移築した物だという。食事などは母屋で取っていたので、ここには書斎と客間、書棚が収められていた部屋しかない。書斎で数々の作品が執筆されたが、使われていた机は、倉敷の 横溝正史疎開宅に持って行かれたらしい。ここに置かれているのは、客用に用いられていたお膳である。隣の客間には火鉢がある。ここで出版社の人と相談したのだろう。書棚があった奥の部屋が展示室となっていた。(つづく)


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2019年08月27日

ほったらかし温泉の前に(1)

 酒折駅から山梨市駅に向かった。駅前は広々としているのに、店の数も少なく閑散としている。特に飲食店が少ない。飲み屋が数軒あるくらい。一時半のバスまで時間があるので、道の駅の食堂で昼食を取った。
 ほったらかし温泉に向かうバスに乗車した。
「ほったらかし」とは野性味のある名前だが、富士山を望む絶景の温泉として、近年人気が高まっているという。市街地を抜けると、急坂の続く道をぐんぐん上っていく。途中のフルーツセンターには、多くの巨大温室が建ち並んでいる。
 終点のフルーツ公園で下車した。ここでの夜景は素晴らしいらしい。たしかに見晴らしはいい。向かいの山との間の盆地には、畑の間にまばらに住宅が建っている。ただ、遠方が霞んでいるから、果たして富士山が拝めるやら。それに、日が暮れるまでは、ここにいられないだろう。(つづく)


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2019年08月26日

特急「あずさ」で石和温泉へ(4)

 甲斐善光寺は裏手に墓地があり、檀家のお布施で経営されている。お彼岸ということもあり、参拝する人の多くは墓参である。そのため、巨大な堂宇を維持するのが難しいのだろう。朱塗りの柱も剥げ、白壁もひび割れている。
 武田信玄が建立した当時の伽藍は、近隣の農家から出た火災で焼失し、今の本堂は江戸中期の再建である。本尊の銅造阿弥陀三尊像は秘仏で、七年に一度だけ開帳される。内部を一巡するには拝観料が必要である。天井の鳴竜に向かって手を叩いている人がいた。鳴竜と言えば、日光の薬師堂の物は、神仏分離令の影響で、輪王寺が管理している。日光の場合は東照宮から分離されても、廃仏毀釈で破壊されなかったのは幸運である。
 酒折駅への帰り道、写真を撮りながら歩いていたら、結構ぎりぎりになってしまった。近くには酒折宮があった。日本武尊が連歌を詠んだという伝説が伝わっているとのこと。


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