2019年07月16日

ぼくがイヌ派だった頃(10)

 クロがいなくなって、二年ほどたっていた。ぼくもようやく一人で犬の散歩ができるようになっていた。散歩をしていると、よく人に声をかけられたものだ。
「それ、キツネですか」
 黄金色の艶のある毛は、たしかにキツネの毛皮を連想させたが、顔も何だがキツネに似ていた。お稲荷さんにお仕えしているあのキツネに。
 ただ、サブには一つ困った性癖があった。女の子が大好きということだった。えっ、それがどうして? と言われそうだが、女の子のそばに行くと、クンクンにおいをかぎ始め、スカートの中に頭を突っ込んでしまうのだった。
 うっかりしていると、ぼくがサブにやらせていると思われかねない。またやらかしているのに気づくと、ぼくは力尽くでリードを引いて、サブを引き離さなければならなかった。
「恥をかかされた」
 ぼくはご主人様気取りだった。クロの時は引きずり回されていたから、大人しいサブには尊大な態度を示してしまった。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 02:38| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする