2019年07月01日

ぼくがイヌ派だった頃(6)

 ぼくの幼年時代は、あの楽園が失われたとき、そして、クロがいなくなったときに終わった。今では脳裏にしか存在しない、夢と現実が交錯する幸福な時期を、ぼくは長らく忘れていたような気がする。
 いつも元気に駆け回り、リードを持ったぼくを振り回していたクロだが、いつの間にか病に冒されていた。犬の六歳と言えば、人間なら働き盛りの中年ぐらい。今なら十五年以上生きることも珍しくないが、当時の犬の多くは番犬で、防犯のために屋外で飼われていた。しかも、狂犬病の予防注射くらいで、病気がひどくならなければ、獣医にも連れていかなかった。
 ひなたぼっこをさせるために、クロは物干しの柱につながれていたが、まっすぐ立っていることも難しかった。足の力が抜けてしまい、股を裂くように足が広がってしまうのだ。ぼくは何が起こったのか分からず、母に聞いてみることにした。
「クロはね、病気なの」
 それがどんな病気であるのかは、まだ知らされていなかった。話されても分からないだろうし、ぼくがショックを受けるのを恐れていたのだろう。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 01:16| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ぼくはネコなのだ(pdf)

 夏目漱石の『吾輩は猫である』のパロディーです。のらネコの兄弟が母親に見捨てられた後、もう若くない兄妹と老母の家に棲みつく中であった事件を、ユーモラスに描きました。子ネコが成長する姿を楽しんでいただけたらと思います。ネコ好きの方は、ぜひご覧ください。
 今回はパソコンですぐに開けるpdfをアップロードします。Adobe Acrobat Readerの「フルスクリーンモード」だと、バーチャルな書籍がモニターに再現されます。以下のリンクからダウンロードしてください。
I_am_a_cat.pdf

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