2019年06月17日

尻に敷く

 今は昔、尾張国に木下藤吉郎という草履取りがいた。ある寒い朝、主人の織田信長は草履をはいた途端、「きさま、尻に敷いておったな」と怒鳴った。藤吉郎はすかさず胸元を広げ、「殿のおみ足がこごえぬように、温めていたのでございます」と申し上げた。これをきっかけに信望を得た藤吉郎は、天下取りへの足がかりを得ることになった。
 それから五百数十年後、アメリカの植民地となった日本の首相が、宗主国の親書を携えて中東に旅立った。ところが、相手国から受け取りを拒まれたため、尻に敷いて隠していた。それが写真に撮られて、インターネットで大騒ぎになったが、日本の新聞は「アメリカを尻に敷く偉大な指導者」として首相をほめたたえた。


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 00:24| Comment(0) | ショートショート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする