2019年05月24日

ぴんぴんころり

 バブル崩壊の前夜だった。男はブランド物のスーツで決め、カクテルを飲みながら、ディスコで女と踊っていた。男の口癖は、日本スゲえだった。財布の札束を見せびらかし、世界第二の経済大国に誇りを感じていた。
 酔いが覚めると、服が湿っていた。卒塔婆が風で揺れている。鴉が無気味な声で鳴いた。握っていたのは人骨だった。墓場で酔い潰れていたのだ。ここから逃げ出さなければ。こんな国じゃ生きていけない。そうだ、外国に行こう。俺はまだ若いんだし。
 ところが、それも夢の続きだった。八十過ぎの痩せこけた老人が、アパートの一室で、瀕死の状態で発見された。「ぴんぴんころり、ぴんころり、年金もらえず、ころり逝く」と口ずさんでいた。


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2019年05月23日

令和版「ええじゃないか」

 ええじゃないか、よいじゃないか、ええじゃないか、よいじゃないか。年金消えても、ええじゃないか。ぴんぴんころりで、ええじゃないか。みんな消えれば、ええじゃないか。日本終われば、ええじゃないか。


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五稜郭は和洋折衷(7)

 かつてここを訪れたときには、芝生の植わった公園という印象しかなかった。2010年(平成22)に、五稜郭の中央部に箱館奉行所が再建された。箱館戦争で旧幕府軍と新政府軍の戦場となり、焼失してしまっていたのである。奉行所の建物は赤瓦の屋根の上に、太鼓櫓が飛び出したのが特徴で、土蔵など付属する建物の一部も復元されている。ただし、20数棟あった物の一部であり、奉行所の建物自体も、表の部分を中心とした三分の一程度が復元されたのに過ぎない。玄関に入ると、右手に使者之間がある。そこから、襖を隔てて四之間、参之間、弐の間、壹之間が続く。壹之間に御奉行様が座り、身分によっていずれの間まで入れるかは決まっていた。襖にどのような絵が描かれていたかは分からないので、襖は無地のままになっている。
「下々の者は、この建物には入れず、入口の前で土下座するしかなかったんだよ」と僕は友人に言った。
 中庭の向こう側には当時の資料が展示されたり、映像が上映されたりしていた。特に目を引いたのは、当時のトイレである。和式の便器のほか、男性用の小便器もあった。隣には水をためた壺があり、ひしゃくですくった水で手を洗い、洗った水は屋外に流れ出るようになっていた。(つづく)


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posted by 高野敦志 at 02:46| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする