2019年04月04日

『ラモーの甥』が示す天才像

 十八世紀フランスの哲学者ディドロは、文学作品も書いている。よく知られているのは、対話形式の小説『ラモーの甥』である。哲学者の「私」と、音楽家ラモーの甥である「彼」の対話で進められる。破天荒で常識にとらわれず、詭弁を弄することも厭わない「彼」は、天才と狂人は紙一重という元型的なイメージを表している。
『百科全書』の編纂者でもあるディドロは、ロシアのペテルブルグを目指し、女帝のエカテリーナ二世を訪問している。啓蒙思想に共感を示す女帝は、ディドロを歓迎するが、やがて自由思想に警戒を示すようになる。ディドロはロシア国内のシャーマンに興味を抱くが、女帝はシャーマンを詐欺師、シャーマニズムを迷信と断罪し、ロシア国内から一掃しようとする。
 グローリア・フラハティの『シャーマニズムと想像力』を読んで興味深かったことの一つが、ラモーの甥の人物像が、シャーマンの持つ両義性、隠された真実を告げる面と、人々を惑わす詐欺師の面を併せ持つ両義性に由来するのではないか、と推測している点である。
 シャーマンというと、アメリカの先住民を思い浮かべてしまうが、広大なシベリアの大地にも多くのシャーマンがいて、キリスト教に改宗しながらも、祖先から受け継いだ呪術を伝えてきたのだ。とはいえ、ソビエト連邦時代には、ロシア正教とともにシャーマニズムも抑圧されていたので、シベリアにシャーマニズムが息づいてきたことを、ともすると忘れてしまいそうになる。

参考文献
 ディドロ『ラモーの甥』(本田喜代治・平岡昇訳 岩波書店)
 グローリア・フラハティ『シャーマニズムと想像力』(野村美紀子訳 工作舎)


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