2019年04月29日

函館本線の謎(2)

 なぜ特急を下りてしまったかって? それは今回の旅の目的の一つが、21歳の時に感動した車窓風景、北の大地を初めて鉄路で走った風景を、もう一度目にすることだったからだ。ただ今回は時間の関係で、当時とは反対のコースをたどることになるのだが。
 手前に一両で止まっているのが、砂原支線経由函館行きの気動車だった。がらがらで数人しか乗っていない。早朝と昼過ぎ、あとは夕方に数本走るだけ。全くのローカル線と化している。これでは不便だから、乗るのは車を運転できない中高生や老人、鉄道マニアぐらいだろう。
 かつて函館本線の特急では、札幌方面に向かう下りは、大沼駅から海岸線に沿って、駒ヶ岳の麓を迂回する砂原支線を通っていた。というのも、大沼公園駅を通る本線は勾配がきつく、馬力の弱かった国鉄時代の気動車では、迂回せざるを得なかったのである。函館に向かう上りは、当時から本線を通っていたので、砂原支線を経由しなかったのである。(つづく)


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2019年04月26日

函館本線の謎(1)

 洞爺駅行きのバスに乗った。ぐんぐん坂道を下りていく。それにしたがって、気温も上がっていく。駅には特急の30分ほど前に着いた。お婆さんが構内で売ってる駅弁を買うことにした。たぶん90近いのではないだろうか。その高齢でよく働いているなあと思った。かに飯はやや味が濃かったが、ほぐした本物のカニ肉が満遍なく載っていた。漬物と蜜柑の缶詰も入っている。
「北海道の駅弁には、なぜか蜜柑が入っているんだよ」と友人が言った。理由はよく分からない。たぶん、蜜柑が採れない北海道では、蜜柑は南国の香りを伝える贅沢品だったのではないか。
 特急列車で一駅、長万部まで乗った。そこで下りて、函館本線の各駅停車に乗り換える。跨線橋からは二両編成の気動車の前に、大勢の乗客が並んでいた。倶知安行きの列車だった。近くにはスキー客で賑わうニセコがあるから、乗客の多くは外国人なのだろう。(つづく)


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2019年04月25日

洞爺湖に幻の霊山現る(8)

 確かにその点では優しいのだが、有珠山は江戸時代に爆発的な噴火を繰り返し、山体崩壊も引き起こしており、太平洋に達するほどの火砕流や火砕サージも噴出する。また、山頂以外に山腹や麓から、新たな火口を作って噴火する。恐ろしい側面を持っている点で、危険な火山であることには違いない。昭和新山も有珠山の噴火活動で畑が隆起した物であり、2000年の噴火でも国道脇に火口ができて、そのまま隆起して小山となり、新たな道路を建設せざるを得なくなった。
 13分ほどの上映時間が終わった。映写室の周囲の展示を見て回ったが、35年前のバーチャル噴火体験の施設が、火山弾よけの屋根付きで再現されていた。これは1977年の噴火を体験させるもので、いったんは収束したかに見えた噴火が、土砂降りの降る中で再び始まり、火山雷を伴う噴煙とともに、火山弾が降りそそぐさまが、床からの震動と、屋根に落ちる小石や岩の音でリアルに表現されていた。翌年には泥流が発生し、犠牲者を数名出してしまった。
 バスの時間まで余裕があったので、2000年に噴火した金比羅山の火口を見ようと、友人が言い出した。距離的にはそんなに遠くない。ただ、雪がかなり積もっていたので、手前までしか行けなかった。雪のない季節なら、正面の団地跡の裏手に回り、かつての火口も覗くことができたのだが。洞爺湖の方を見ると、羊蹄山の山腹に雲がかかっていた。幻のような偉容は、すでに霞んできていた。


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